公開 2024.08.29 更新 2024.12.10Professional Voice

次の世代に価値を残していきたい
鈴木啓一弁護士が語る、税務×法律の可能性

インタビュー

「次の世代に何を残せるか」この問いを胸に、鈴木啓一弁護士は相続、M&Aの分野に取り組んでいる。ファーストキャリアで培った税務の知識と法律の専門性を武器に、日本の社会課題に向かう姿勢と、将来への展望を探る。

目次
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父親譲りの正義感から志した弁護士への道

弁護士を志したきっかけについて教えてください。

自分が子供の頃に父親から聞いた話なんですが、地元の政治が有力者によって行われていて、外部からチェックが入らない状態だったそうです。

父は反骨精神がある人だったみたいで、有力者と問題点について議論したと聞いていました。

そんな経験もあったので、中学生、高校生の頃から、政治や社会に対して興味がわいてきました。

ビジネスよりも政治や正義への興味が大きくなり、高校生のときは弁護士になりたいと周りに言っていましたね。

大学生の頃は中坊公平さんが話題でした。あの方も在野の精神、反骨精神を持って大企業や国を相手に社会を変えていく立場に見えていたので、そういう弁護士に憧れていました。

インタビュー_鈴木 啓一

ファーストキャリアとして税理士法人を選んだ理由

そのような意識を持っている中、最初のキャリアでは税理士法人山田&パートナーズに入所されます。どういった経緯がありましたか?

当時、弁護士が増員され、自分の専門分野を持ちたいと考えていました。そこで、税理士法人に入るのは法律事務所に入るよりも遠回りですが、自分の経歴に他の方とは違う要素を取り入れたいと考えたのです。

税務についてはロースクールのときにゼミを取っていて面白いなと思っていましたし、自分の実家も税務調査に入られたことがありました。税務についてある程度知っている弁護士は、これから必要になるのでは、という考えも持っていました。

差別化を考えていたのですね。入所されてからはどういった案件に取り組まれていましたか?

入所してから1年弱は税理士の補助として、所得税や相続税の申告に関する実務を会計事務所のスタッフとして行いつつ、税理士からの相談に回答していました。

例えば、親族・相続法の質問を受けて法定相続分について調べたり、税務調査に入られた際の貸金契約成立の有無などへの回答です。前線のスタッフとして働いていましたね。

その後は系列の弁護士法人に移って相続案件などに取り組みましたが、税理士の動き、税務申告の流れ、相続税申告の資料の読み取り方など、税理士法人にいたときの知見が生きました。

相続を恒常的にやっている弁護士はそんなに多くないと思うんですが、前職では常に案件があり、税理士と一緒にお客様と面談をしていました。ワンストップで解決してきたのは本当に良い経験でしたね。

先生ならではのご経験ですね。印象深いエピソードがあれば教えてください。

自分の仕事に誇りを持っている税理士の方が多かったです。お客様に対して「あなたのため」「あなたの相続人のため」という点を強調して高い報酬を払う意義を示してサービスを提供されていました。

相続税申告をやっている事務所って日本ではそんなにないと思うんですが、一人で百件近い案件をされている方がいたので、経験に裏打ちされたアイデア、アドバイスは刺激になりました。

インタビュー_鈴木 啓一

Authenseで向き合う日本の社会課題

2021年にAuthenseへ移籍されます。どのような背景があったのでしょうか。

前の事務所は金融機関の方からの紹介が一般的だったので、営業力が必要なかったんですよね。働き方の制限もそれなりにあったので、移籍を考えていました。

Authenseは他の事務所と比べ、新規事業や新しいサービスを開発している事業会社的な特色がある事務所です。今までやってきた経験をもとに、新しいサービスを創出したいと思い、Authenseに興味を持ちました。

それまでにご経験されてきた、税務の領域での新サービスを考えていたのでしょうか?

転職活動のときは不動産開発に興味があったのですが、入ってみると自分はやはり相続や税務が好きだと思いました。

実際、入所してからは相続案件に多く取り組んできました。相続人が20人〜30人と大規模な案件も結構あります。相続税申告が必要な相続の案件もありますね。

大手金融機関の相続手続きWebサポートサービスの開発に関われたのは面白かったです。

相続分野には今も注力していまして、Authenseの中で税理士の方々とのネットワークを強化し、相談に対応できる体制を整えているところです。

他にはどのような案件に携わられてきましたか?

中小企業のM&A前に必要な株式の集約なども相談が多いですね。中小企業を再編し、企業の層を厚くすることは日本の社会的課題だと思っています。

日本の中小企業は海外と比較すると比べ物にならないくらい規模が小さいです。ドイツの中堅企業は日本の大企業並みに強くて、待遇も良いと言われています。

社会課題に向き合い、日本企業の構造を変革していきたいです。

インタビュー_鈴木 啓一

次の世代に永続的な価値を残したい

先生の強みについて教えてください。

相続には相続税をはじめ、不動産売却などに関する税金の問題が生じます。どういうケースで税理士が必要になるか、概ね理解している点は私の強みです。

加えて、元々一緒に働いていた仲間の税理士がいますので、案件に応じてご紹介できる点は強みかなと思います。

今までのご経験とネットワークが強みですね。どのような方にご相談にきてほしいですか?

お客様は初めて経験する問題に直面し、夜も眠れないくらいに悩まれてから相談に来られる方が多いです。

一方で、弁護士は過去に多くの案件を取り扱っています。相談者様にとっては初めての経験であっても、過去に類似の案件はあるはずです。勇気を持って弁護士に相談していただきたいなと思います。

最後に今後の展望について教えてください。

今後は信託を勉強していきたいと考えています。

歴史に関する本を読むことや、古い建物に接することが好きなんですが、日本の歴史的価値のある建物って、個人の努力で維持されているものが多く、永続性がありません。

私の出身地である青森をはじめ、地方に多くある歴史的な建造物を、信託の仕組みを使って後世に残していきたいと思っています。

具体的にはどのような仕組みになるのでしょうか?

例えば、図書館や喫茶店にして、民間団体や地方公共団体に信託するという形です。使いながら維持していくことがポイントと考えています。

次の世代に引き継ぐ、興味深い取り組みですね。

弁護士は後に物が残らないんですよね。子供に「お父さんが作った建物だよ」とは言えないじゃないですか。

ずっと使われていく何かを残して人生を終えられたらな、と思います。

インタビュー_鈴木 啓一

記事監修者

Authense法律事務所
弁護士

鈴木 啓一

(第二東京弁護士会)

第二東京弁護士会所属。中央大学法学部国際企業関係法学科、専修大学法科大学院修了。司法修習終了後、国内大手税理士法人である税理士法人山田&パートナーズにて相続税申告業務等に携わった後、相続・事業承継・企業法務を多く扱う弁護士法人Y&P法律事務所を経て、Authense法律事務所入所。複雑かつ大規模な不動産法務案件に関して、オーナー側の代理人として数多くの解決実績を有する。相続分野の経験も豊富。

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